ボスコフスキー&シューリヒト&ウィーン・フィルによるモーツァルトのヴァイオリン協奏曲第3番を聴いて

ボスコフスキー&シューリヒト&ウィーン・フィルによるモーツァルトのヴァイオリン協奏曲第3番(1960年 ザルツブルク音楽祭ライヴ)を聴いてみました。

ウィーン・フィルの名物コンサートマスターだったボスコフスキーがソリストを務めてのモーツァルトの協奏曲。なんとも魅力的な取り合せであります。
その内容はと言いますと、ボスコフスキーの典雅にして優美な独奏と、シューリヒトによる恬淡とした演奏ぶりとを、ウィーン・フィルの美音が橋渡ししてくれている演奏。そんなふうに言えるのではないでしょうか。
ボスコフスキーによるヴァイオリンは、タップリと歌い抜きながら、甘美な音楽を奏で上げています。物腰が柔らかで、暖かみを帯びている。しかも、必要以上に甘ったるくなるようなことはなく、程よくキリっとしている。格調高くもある。
そのようなボスコフスキーを包み込む、ウィーン・フィルの艶やかでまろやかな音。そして、シューリヒトの虚飾を排した高潔な音楽づくりが、この演奏を更にキリっとしたものにしてくれている。懐が深くもある。
なるほど、全体的に「おっとりとした」音楽づくりになっているとも言えそうですが、そのような中で、最終楽章での適度にキビキビとした演奏ぶりが、この演奏をより一層印象的なものにしてくれています。

聴いていてウットリとした気分にさせられる、素敵なモーツァルト演奏。
この3者の組合せならではの魅力が横溢しているモーツァルト演奏だと言えましょう。