コリン・デイヴィス&ロンドン響によるニールセンの≪不滅≫を聴いて

コリン・デイヴィス&ロンドン響によるニールセンの≪不滅≫(2010年録音)をきいてみました。同コンビは2010年前後にニールセンの交響曲全集を完成させていますが、当盤はその中の1枚。
NML(ナクソス・ミュージック・ライブラリー)に収蔵されている音盤での鑑賞になります。

速めのテンポで、推進力豊かに進められています。キリっと引き締まっていて、かつ、キビキビとした演奏になってもいる。
なるほど、颯爽とした風情が感じられます。それでいて、音楽がサラサラと流れてゆくようなことはない。力感に満ちていて、逞しさが備わっている。ニールセンの音楽に相応しい壮麗さにも不足はない。そう、活力に溢れていて、適度に勇壮な雰囲気の滲み出ている演奏となっているのであります。
しかも、音楽が空騒ぎするようなことはなく、ジックリと音楽を鳴らしている。そのうえで、コクのある音楽が奏で上げられている。例えば、聴きどころの一つと言えそうな最終楽章でのティンパニの乱打などは、決して派手に叩くようなことはしていません。それでいて、十分に力強く、ズシリとした重みを持ったものとなっている。
更に言えば、イギリスの指揮者とオーケストラならではと言いましょうか、ノビルメンテな空気感の漂っている音楽が鳴り響いています。ニールセンの音楽には、イギリス音楽に相通じるような威風堂々たる佇まいが感じられる場面が多い(交響曲第2番の最終楽章などは、その好例だと言えそう)のですが、この演奏を聴いていますと、その思いが殊更に強くなる。

生彩感に満ちていて、かつ、格調高い演奏。
C・デイヴィスの美質がクッキリと現れている、素敵なニールセン演奏であります。