ショルティ&ロンドン・フィルによるホルストの≪惑星≫を聴いて

ョルティ&ロンドン・フィルによるホルストの≪惑星≫(1978年録音)を聴いてみました。

当盤は、≪惑星≫のマイベストであります。
入手したのは、国内でLP初出された直後。そして、自分の小遣いで初めて購入した≪惑星≫でありました。
(これ以前には、父親が所有していたボールト&ニュー・フィルハーモニア管盤が、我が家のレコード棚にはありました。)
当盤を購入してからというもの、≪惑星≫を聴くときには、必ず当盤を取り出していた私。いわば、この演奏が私にとっての≪惑星≫の刷り込みとなっています。

その演奏内容はと言いますと、鋭敏にして、豪快なもの。スパッとした切れ味を持っていて、しかもダイナミズムに溢れています。そして、輪郭線が明瞭。音の粒が立ってもいる。音楽が、決してダブつかない。そう、とても筋肉質な演奏が繰り広げられているのであります。
演奏全体から、潔さのようなものが感じられる。
そのうえで、毅然とした演奏となっている。そのことは、「火星」の出だしの音からして、ハッキリと窺えます。真っすぐに前を向いて、音楽は驀進してゆく。その一方で、「金星」や「土星」や「海王星」などでは、リリカルな美しさにも不足はない。「水星」では、クリアで、かつ、敏捷性の高い演奏が展開されている。そのような振り幅の大きさも、この演奏の魅力だと言えましょう。しかも、それぞれの表情からは真実味が感じられ、かつ、それぞれのナンバーの性格に適ったものなっているので、作品の世界にス~っと入り込んでいける。
そんなこんなもあって、聴いていて痛快感を覚える演奏となっています。オーケストラ音楽を聴く醍醐味に溢れているとも言いたい。
そのようなショルティの音楽づくりに対して、ここではオケがシカゴ響ではなくロンドン・フィルであるために、演奏が過度に鋭角的にならずに適度なまろやかさが生まれているように思えるのが、なんとも興味深い。

いやはや、実に見事な、そして、頗る魅力的な≪惑星≫であります。