ベーム＆バイエルン放送響によるベートーヴェンの交響曲第7番を聴いて
ベーム＆バイエルン放送響（BRSO）によるベートーヴェンの交響曲第7番（1973年ライヴ）を聴いてみました。
ベームならではの、質実剛健な演奏が繰り広げられています。堅固な音楽が鳴り響いていて、充実感がタップリ。とても毅然としてもいる。
その一方で、生気に溢れています。テンポはやや遅めで、ドッシリと構えた演奏ぶりでありつつも、推進力に満ちていて、溌溂としているのであります。若々しくて、爽快な演奏ぶりだとも言えそう。この辺りは、BRSOの機能性の高さと、ニュートラルな響きに依るところも大きいのではないでしょうか。そのこともあって、音の分離の良さが感じられもする。
総じて、澄み切った明るさ、と言えるようなものが感じられるのであります。洗練度が高くもある。そのうえで、覇気の漲っている演奏となっている。躍動感に溢れていて、キビキビとした音楽運びがなされている。しかも、雄渾で、風格豊かでもある。このような手応えは、この作品にも誠に似つかわしいと言えそう。
「頑固親爺」という言葉が当てはまりそうなベーム。しかしながら、この演奏では、普段のベームとは違った側面が現れているように思えてなりません。あくまでも堅実な音楽づくりでありながらも、晴朗で意気軒昂な音楽が奏で上げられている。
ベームの数ある音盤の中でも、とても興味深い演奏であると言えましょう。しかも、充実度が高くて、聴き応え十分な、素敵な素敵な演奏となっている。
多くの音楽愛好家に聴いてもらいたい、頗る魅力的な音盤であります。