ショルティ&シカゴ響によるストラヴィンスキーの≪春の祭典≫を聴いて

ショルティ&シカゴ響によるストラヴィンスキーの≪春の祭典≫(1974年録音)を聴いてみました。

豪快、かつ、鮮烈な演奏であります。それはもう、痛快なまでに。
切れ味が鋭く、明快を極めている。目鼻立ちが非常にクッキリとしている。そして、とても精巧。更に言えば、実に強靭な音楽が掻き鳴らされている。
洗練されている、と表現すべき類のものでは無く、充分に野性味を感じさせてくれる演奏となっています。それでいて、決して野蛮で凶暴な音楽にはなっていない。例えば、終曲の「いけにえの踊り」も、荒れ狂うような音楽にはなっていない。そう、全編を通じて、整然とした秩序を持った演奏が繰り広げられているのであります。そのうえで、ドラマティックな、そして、エネルギッシュな音楽が響き渡っている。頗るエキサイティングでもある。
かくたる演奏を可能にしたのは、シカゴ響の個々のメンバーの技術の優秀さと、合奏力の巧みさ、であることは、まず間違いないでしょう。パワフルであり、かつ、エッジの効いた音を奏で上げてくれてもいる。
これはまさに「スーパーオーケストラ」の実力が遺憾なく発揮されている≪春の祭典≫だと言えましょう。そして、それを可能にした、ショルティの統率力と、棒の切れの素晴らしさも、脱帽もの。

ショルティ&シカゴ響ならではの魅力がギッシリと詰まっている≪春の祭典≫。
いやはや、なんとも見事な演奏であります。