フルニエ&バウムガルトナー&ルツェルン祝祭弦楽合奏団によるハイドンのチェロ協奏曲第2番とボッケリーニのチェロ協奏曲を聴いて

フルニエ&バウムガルトナー&ルツェルン祝祭弦楽合奏団によるハイドンのチェロ協奏曲第2番とボッケリーニのチェロ協奏曲(1964,61年録音)を聴いてみました。

当盤は、高校生になってすぐの頃、廉価盤のLPで購入したもの。ほぼ同時期にグルダとのベートーヴェンのチェロソナタも購入し、その両盤でフルニエの素晴らしさに目を開かされた、思い出深い音盤であります。

さて、ここでの演奏はと言いますと、なんとも格調の高いものとなっています。薫り高くもある。これらのことは、独奏と指揮の双方に当てはまる。
フルニエによるチェロは、ここでも、真摯にして堅固で、折り目が正しい。それでいて、堅苦しさは全くなく、滑らかで伸びやかで、暖かみを帯びている。決して派手に振る舞ったり、はしゃぎ回ったり、といったことはないものの、十分に快活で、屈託がない。押しつけがましさは皆無なのですが、雄弁でもある。そして、息遣いが頗る自然。全編にわたって、ノーブルな歌心に溢れている。そのうえで、艶やかさも充分。晴朗さが感じられもする。
そのような演奏ぶりが、この両曲には誠に相応しい。
更には、バウムガルトナーの指揮が、誠実でありつつも、爽快で晴れやか。実に活き活きとした音楽づくりが為されています。しかも、しっとりとしてもいる。そのようなバウムガルトナーの演奏ぶりは、1970年代にオイロディスク・レーベルに録音したバッハやヘンデルやモーツァルトなどの諸作で聞かせてくれたものと共通していると言えましょう。

フルニエにもバウムガルトナーにも、流暢な音楽づくりの中に、豊かな音楽センスが感じられます。様式美に溢れてもいる。そのような演奏ぶりがまた、古典派の音楽にはピッタリ。
聴く者の心をゆったりと寛がせてくれる、素敵な素敵な演奏であります。