フルネ&ロッテルダム・フィルによるフォーレの≪レクイエム≫を聴いて
フルネ&ロッテルダム・フィルによるフォーレの≪レクイエム≫(1975年録音)を聴いてみました。独唱陣は、アーメリング(S)とクルイセン(Br)。
NML(ナクソス・ミュージック・ライブラリー)に収蔵されている音盤での鑑賞になります。
フォーレならではのエレガントで詩情味豊かな雰囲気を湛えていつつも、骨太で逞しさの感じられる演奏となっています。この作品に相応しい(或いは、フランス音楽に相応しい)浮遊感が十分であり、かつ、実在感の大きな演奏となっている。
構成感のシッカリとした音楽づくりが為されていて、とても頑健な演奏となっています。音楽に分厚さが備わっている。熱量の高さが感じられもする。
とは言いましても、決して力任せな演奏になってはいません。なるほど、屈強な演奏ぶりだと言えましょうが、荒っぽさは全くない。むしろ、頗る精妙な音楽が奏で上げられている。弾力性を帯びていて、ふくよかであり、暖かみがあり、清らかであり、優しさに溢れている。慈愛に満ちてもいる。そのような音楽づくりが、この作品に相応しい。
そのうえで、アーメリングによる歌唱がまた、暖かみがあって、かつ、清らかであり、ここでのフルネの演奏ぶりにピッタリだと言えましょう。頗る格調の高い歌いぶりでもあります。そして、クルイセンによる歌もまた清潔感を帯びていて、エレガントなものとなっている。
シッカリとした手応えを感じさせてくれる、立派な演奏。そのような演奏ぶりを通じて、この作品の魅力をジックリと味わうことができる。
なんとも素敵な演奏であります。