アシュケナージ&メータ&ウィーン・フィルによるベートーヴェンのピアノ協奏曲第2番を聴いて
アシュケナージ&メータ&ウィーン・フィルによるベートーヴェンのピアノ協奏曲全集から第2番(1983年録音)を聴いてみました。
ベートーヴェンが書き上げた5つのピアノ協奏曲の中で、最も可憐な性格を持っていると言えそうな第2番。ここでのアシュケナージによる清冽な演奏ぶりは、そのようなこの作品が持っている風情にピッタリだと言えましょう。響きは、水晶のように透き通っていて、とても美しい。
冴え冴えと澄み渡った、清々しいベートーヴェン演奏。しかも、伸びやかで、屈託の無い演奏ぶりとなっている。そのうえで、詩情性の豊かな音楽が奏で上げられている。
更に言えば、粒立ちが鮮やかで、かつ、均質性の高い音たちで覆われた演奏となっている。不純物の一切混ざっていない純美な音によって紡ぎ上げられている音楽だとも言いたい。それがまた、この作品が備えている性格に相応しい。
そのようなアシュケナージに対して、メータは逞しさを湛えた音楽づくりを施してくれています。可憐であると言いつつも、この作品は紛れもなくベートーヴェンの手になる音楽であり、メータが示してくれている逞しさが、ベートーヴェン的な性格をシッカリと描き出してくれている。
そこに、ウィーン・フィルの優美で艶やかな美音が加わることによって、この演奏の魅力が更に増している。
そんなこんなによって、響きも、音楽が示してくれている佇まいも、惚れ惚れするほどに美しい演奏となっている。
安心して作品に身を任せながら、このチャーミングな作品の魅力を心行くまで味わうことのできる、素敵な素敵な演奏であります。