スーク&ノイマン&チェコ・フィルによるドヴォルザークのヴァイオリン協奏曲を聴いて

スーク&ノイマン&チェコ・フィルによるドヴォルザークのヴァイオリン協奏曲(1978年録音)を聴いてみました。
NML(ナクソス・ミュージック・ライブラリー)に収蔵されている音盤での鑑賞になります。

スークならではの、美しくて、凛としたヴァイオリン独奏が展開されています。
スークのヴァイオリンは、やや細身の音と言いましょうか、キリっと引き締まったものでありつつも、とても艶やかでもあります。しかも、媚びを売るようなことは皆無。頗る真摯であり、ある意味、献身的な演奏ぶりだとも言えそう。それでいて、硬さはなく、伸びやかな演奏が繰り広げられている。そして、ジックリと歌い込んでいる。
ロマンティックな感興に溢れていて、艶美でもある。この点は、特に、第2楽章において顕著。
そのうえで、この作品が持っている民族的と言いますか、素朴でありつつ力強い性格も、よく表されています。激情的であり、煽情的でもある。その一方で、最終楽章での舞曲的な愉悦感にも不足がない。
そのようなスークをサポートしているノイマンの指揮がまた、確信に満ちたものとなっています。熱気に満ちていて、雄弁で、生命力に溢れた音楽づくりが為されている。

この協奏曲の魅力を存分に味わうことのできる、充実感いっぱいの演奏。そして、格調高くもある。
そういった演奏を為し得たのも、スークとノイマンにとって自国の偉大な作曲家であるドヴォルザークへの深い敬愛があってのことなのだ、とも言えましょう。
いやはや、実に素晴らしい演奏であります。