ショルティ&シカゴ響によるR・シュトラウスの≪ツァラトゥストラかく語りき≫を聴いて

ショルティ&シカゴ響によるR・シュトラウスのツァラトゥストラかく語りき1975年録音)を聴いてみました。

なんとも明快な演奏であります。更には、剛毅にして、壮麗な演奏となっている。
スーパー・オーケストラと呼ばれるシカゴ響を、豪快にドライブしてゆくショルティ。しかも、頗る精緻な演奏ぶりで、この作品の音楽世界が克明な筆致で描かれてゆく。そう、曖昧さの一切無いストレートな演奏ぶりが貫かれていると言いたい。そのことによって、聴き手に有無を言わせない「痛快な」説得力が感じられてくる。更には、「黙って俺についてこい」的な演奏だとも言えそう。
そのうえで、音楽が、至る所で「うなり」を上げています。エネルギッシュにして、ダイナミックに、音楽が掻き鳴らされている。
しかも、R・シュトラウスならではの色彩感にも不足はありません。音楽が、至る所でキラキラとした光彩を放ってくれている。その輝きは、潤いのあるものというよりも、硬質で、凝縮度の高いものだと言えそう。総じて、キリっとした響きがしています。それでいて、外へと向かって拡散されてゆくような力も、存分に感じられる。それがまた、R・シュトラウスの音楽に相応しい、絢爛華麗な音楽世界が描き出される要素になっていると言いたい。
このような演奏を可能にしている要因として、シカゴ響の巧さとパワーに依るところ大だという点も、見逃すことはできないでしょう。

胸のすく快演。そのような形容がピッタリな、素晴らしい演奏であります。