ミケランジェリによるドビュッシーの≪映像≫第1,2集と≪子供の領分≫を聴いて
ミケランジェリによるドビュッシーの≪映像≫第1,2集と≪子供の領分≫(1971年録音)を聴いてみました。
ミケランジェリならではの、精妙にして、冴え冴えとした演奏が繰り広げられています。
色彩感がありながら、同時に、透き通るような透明感がある。響きは硬質。それらが相まって、まさに水晶のような音によって描き上げられてゆくドビュッシーの音楽世界。そのうえで、誠に玄妙でもある。
なるほど、内省的な演奏ぶりであると言えましょう。それでいて、ひ弱であったり、内に籠っていたり、といった音楽になってはいません。誠に雄弁な音楽となっている。或いは、音楽が見せている佇まいは、頗る毅然としたものとなっている。いや、凛然としていると言ったほうが良いかもしれない。そして、彫琢が深く、造形美に溢れたものとなっている。
そんなこんなによって、実に気高い音楽が鳴り響いています。高潔な音楽だとも言えよう。更に言えば、「透徹したピアニズム」と呼ぶに相応しい音楽が鳴り響いている。
ミケランジェリを聴く時間は、それだけで何だか特別なものになってしまう。
私にとりましては、そのようなピアニストであります。