マルケヴィチ&ラムルー管によるベートーヴェンの交響曲第5番を聴いて

マルケヴィチ&ラムルー管によるベートーヴェンの交響曲第5番(1959年録音)を聴いてみました。
NML(ナクソス・ミュージック・ライブラリー)に収蔵されている音盤での鑑賞になります。

マルケヴィチならではの、切れ味が鋭く、鮮烈で精悍な演奏が展開されています。メリハリが効いていて、精緻で、明快で、覇気に満ちた音楽が奏で上げられている。力感に富んでいて、運動性の高さの感じられる演奏となってもいる。
更には、解像度が高くて、クリアな演奏だとも言えましょう。一つ一つの音が、クッキリと立っている。
それでいて、聴いていて圧迫感を覚えるようなことはありません。もっと言えば、作品を締め上げるような演奏にはなっていない。なるほど、キリっと引き締まった演奏ではあるのですが、必要以上にスリムになるようなことはなく、むしろ、キリっとした表情の先に、豊麗な音楽世界が広がることとなっている。そして、雄渾な音楽が鳴り響いている。
テンポが速からず、遅からず、といったところであるのも、苛烈な演奏だといった印象に繋がらない要因なのでしょう。力任せだと感じさせられるようなことも、全くない。
なおかつ、全体的に、誠に毅然とした演奏となっている。媚びを売るような姿勢も、全く見受けられない。その辺りがまた、いかにもマルケヴィチらしいところであります。
そんなこんなのうえで、精悍な表情と引き締まった響きの中から、密度の濃い音が響き渡っている。フランスのオケが起用されているということもあるのでしょう、独特の明るさを帯びてもいる。そして、なんとも輝かしい音楽が鳴り響くこととなっている。とりわけ、最小楽章において、そのことは顕著であります。

マルケヴィチならではの魅力の詰まった、なんとも立派で素敵なベートーヴェン演奏であります。