デュ・プレ&バレンボイム&イギリス室内管によるハイドンのチェロ協奏曲第1番を聴いて

デュ・プレによる協奏曲作品を3枚のCDに纏めたセットから、バレンボイム&イギリス室内管との共演によるハイドンのチェロ協奏曲第1番(1967年録音)を聴いてみました。

なんと奔放で、活力に溢れた演奏でありましょうか。実に伸びやかでもある。屈託がなくて、天衣無縫な音楽が鳴り響いています。そして、音楽が、そこここで弾け飛んでいる。
全編を通じて体当り的な演奏が繰り広げられているのですが、音楽のフォルムが崩れるようなことは全くない。快活にして、雄弁な音楽が響き渡っています。音楽全体が逞しく息づいていて、作品自体が嬉々として喜んでいるかのよう。
そのうえで、ニュアンスが細やかで、豊かな息吹が感じられる。第2楽章などは、濃密な歌心が示されている。

音楽する喜びがヒシヒシと伝わってくる演奏。更に言えば、豊かな感受性を裏付けとしながら、何物にもとらわれずに自らの信念に基づいて滔々と奏で上げている演奏。
であるが故に、聴く側も、音楽に接する歓びを思う存分に味わうことのできる演奏となっている。そんなふうに言わずにおれない、素敵な素敵な演奏であります。