パレー&デトロイト響によるサン=サーンスの≪オルガン付≫を聴いて

パレー&デトロイト響によるサン=サーンスの≪オルガン付≫(1957年録音)を聴いてみました。

ポール・パレー(1886/5/24~1979/10/10)は、私の大好きな指揮者の一人。
彼の演奏の特徴、それは明晰な音楽づくりにあると思っております。概して速めのテンポを採りながら、颯爽と音楽を進めてゆく。輪郭線がクッキリとしており、メリハリがしっかりと効いていて、目鼻立ちのクッキリとした音楽を奏で上げてくれる。そして、コントラストが頗る明瞭。そのような音楽づくりによって、何ともいえない清々しい雰囲気を醸し出してくれる。
そう、気風(きっぷ)の良い演奏スタイルが、パレーの大きな魅力となっていると感じています。
そのような明快な、そして、客観性に重きを置いたとも言えそうな(ある種、即物的とも言えそうな)音楽づくりを基調としながらも、そこに何故か「フランスの薫り」とも言えそうな瀟洒な雰囲気がプラスされた演奏を聴かせてくれる。
ついつい「何故か」と書いてしまいましたが、このような演奏スタイルを採っていながらも「フランスの薫り」を感じさせてくれるのが、本当に不思議でなりません。
この≪オルガン付≫もまた、上で述べてきたパレーの特質を充分に感じ取ることのできる、味わい深さを備えた快演となっています。パリッとした感覚の中にも、芳醇な薫りが立ち込めている、素敵な≪オルガン付≫。
とてもダイナミックな演奏であります。剛毅であり、実直な演奏ぶりでもある。そして、輪郭線が明瞭で、明快な演奏となっています。きっちりかっちりとした音楽づくりでありつつも、しなやかさを備えている。そのうえで、決して力づくな音楽といった印象ではなく、詩情性の豊かさが感じられる。

パレーの魅力を存分に味わうことのできる、素晴らしい演奏だと思います。
それにしましても、パレー、本当に素敵な指揮者であります。