ギーレン&南西ドイツ放送響によるバルトークの≪管弦楽のための協奏曲≫を聴いて
ギーレン&南西ドイツ放送響によるバルトークの≪管弦楽のための協奏曲≫(2005年録音)を聴いてみました。
NML(ナクソス・ミュージック・ライブラリー)に収蔵されている音盤での鑑賞になります。
明晰を極めている演奏が展開されています。
贅肉を削ぎ落とした音楽づくりで、音像のクッキリとしている演奏となっている。透明度がとても高い。音のエッジが立っている。
それでいて、決して冷たい演奏にはなっていません。テンポは比較的ゆったりしていて、ジックリと腰を据えた演奏ぶりでありつつも、音楽がうねりを上げながら驀進してゆく。起伏が大きく採られていて、躍動感に満ちていて、頗る鮮烈でもある。十分にエネルギッシュで、かつ、ドラマティックな音楽が鳴り響いている。
そのうえで、暴力的にならずに、冴え冴えとした音楽が奏で上げられている。
実に手際の鮮やかな演奏ぶりであり、かつ、作品が備えている生命力をあますところなく描き出してくれている演奏。しかも、どこにも作為が感じられない。
近現代の作曲家を得意としているギーレンの、面目躍如たる見事な演奏だと言えましょう。