アンドラーシュ・シフ&ハーゲン弦楽四重奏団員らによるシューベルトの≪ます≫を聴いて

アンドラーシュ・シフ&ハーゲン弦楽四重奏団員らによるシューベルトの≪ます≫(1983年録音)を聴いてみました。
NML(ナクソス・ミュージック・ライブラリー)に収蔵されている音盤での鑑賞になります。
シフが30歳の時の、ハーゲンSQは結成されて2年ほどしか経っていない時期の録音となります。コントラバスのポッシュ(ウィーン・フィルの首席奏者)に至っては、この時わずか24歳。
さて、その演奏はと言いますと、清冽で、かつ、溌剌としたものとなっています。率直で、晴れやかで、若々しい。「若鮎」と呼びたくなるような、瑞々しさに溢れた演奏だとも言いたい。
しかも、抒情味が豊かで、伸びやかな歌に満ちている。ゴリゴリと弾くような素振りは皆無。神経質に響くようなことは微塵もないものの、頗るデリケートな演奏が展開されています。シューベルトならではの歌心も十分。そして、しなやかな音楽となっている。それでいて、ふくよかさを帯びている。最終楽章においては、適度な昂揚感が築かれてもいる。
更には、決して派手な演奏ではないのですが、キラキラとした輝きが感じられる。とても明朗な演奏だと言いたい。或いは、澄明だという表現がピッタリでもありましょう。冴え冴えとした音楽が鳴り響いています。そのうえで、とても美しい。
ここに集っている演奏者たちの、屈託のない伸びやかな、そして、清らかな音楽性が発露されている演奏。そのことによって、この作品の魅力も真っすぐな形で現れている。
いやはや、なんとも素敵な演奏であります。





