ワルター&コロンビア響によるブルックナーの≪ロマンティック≫を聴いて
ワルター&コロンビア響によるブルックナーの≪ロマンティック≫(1960年録音)を聴いてみました。
なんとも明朗なブルックナー演奏であります。そう、まさに、明るくて、朗らかな演奏となっている。そして、暖かみに溢れていて、優しい眼差しに包まれている演奏だとも言いたい。
とは言いましても、ただそれだけではありません。充分に逞しくて、気宇の大きな音楽世界が広がっている。響きは、分厚いとまで言えないものの、決して薄くもない。必要十分にどっしりとしていて、潤いがあって、豊饒な音楽が鳴り響いています。クライマックスでの豊麗さにも不足はない。
しかも、コクの深さや、滋味深さが感じられる。更には、まろやかで、芳醇な味わいを湛えている。
そのうえで、これは、ワルターの多くの演奏に共通した特徴だと言いたいのですが、歌謡性に満ちている。であるがゆえに、朗らかな音楽となっているのでありましょう。そして、伸びやかで、晴れやかな性格がクローズアップされてゆく。
(ワルターのリハーサル音源を聞きますと、「もっと歌って、もっと歌って」と、オケのメンバーに頻繁に要求していることが解る。)
そんなこんなによって、ブルックナーの魅力が存分に描き上げられてゆくこととなる。更に言えば、この作品が持っている明るさや開放感が、シッカリと示されることとなっている。
なんとも味わい深い、そして、聴いていて幸福感に包まれる、素敵なブルックナー演奏であります。