ミンコフスキ&ルーヴル宮音楽隊によるシューベルトの交響曲第3番と第4番≪悲劇的≫を聴いて
ミンコフスキ&ルーヴル宮音楽隊によるシューベルトの交響曲全集から第3番と第4番≪悲劇的≫の2曲(2012年 ライヴ)を聴いてみました。
NML(ナクソス・ミュージック・ライブラリー)に収蔵されている音源での鑑賞になります。
覇気に満ちていて、颯爽としている、素敵な演奏であります。音楽が生き生きと息づいている。それも、とてもチャーミングな形で。
ピリオド楽器を使用しているが故に、スリムな響きをしているのですが、音楽のフォルムとしてはふくよかさが感じられもします。しかも、全体的には実にクリアな演奏となっている。声部がクッキリと聞き取れる。そのようなこともあって、明朗で明快な音楽が鳴り響いています。
そのうえで、シューベルト初期の交響曲に相応しい、躍動感や愉悦感に満ちている。音楽そのものが弾け飛んでいるかのよう。さざめきが曲のあちらこちらから聞こえてくるようで、その様子がまた、なんとも心地よい。しかも、そういったことが決して大袈裟に表されることはなく、節度を保ちながら演奏は繰り広げられてゆく。
そのような特徴は特に、第3番において顕著であります。この作品が持っている可憐な性格が過不足なく描き上げられながら、推進力に満ちた演奏が繰り広げられている。身のこなしがしなやかであり、瑞々しくて、清々しくて、ピチピチとしている。
その一方で、≪悲劇的≫の両端楽章では、短調の作品に相応しい切迫感や焦燥感といったものも、押しつけがましくならない範囲でシッカリと表されている。しかも、屈託がない。生気に溢れていて、清々しい。更に言えば、適度な熱気を帯びている。
そう、両曲において、曲想に応じながらの緊密な演奏が展開されているのであります。
ミンコフスキ、素晴らしい指揮者ですよね。音楽センスが抜群だと思います。バランス感覚に優れているとも思う。
このシューベルトもまた、そのようなミンコフスキの美質が横溢している、素敵な演奏となっています。