ミュンシュ&フランス国立放送管によるアルベニスの≪イベリア≫を聴いて

ミュンシュ&フランス国立放送管によるアルベニスの≪イベリア≫(1966年録音)を聴いてみました。

ミュンシュらしい、生気溢れる演奏となっています。熱く燃え滾る血潮が、演奏のそこここから感じられる。例えば、第2曲目の「セヴィリャの聖体祭」などは、その際たるものだと言えましょう。
この作品に相応しいエキゾティックな雰囲気も十分。ある種の妖艶さを湛えた演奏となっています。色彩感に溢れてもいる。それでいて、媚びを売るような素振りは見受けられない。妖艶さも、健康的なそれだと言えそう。率直な演奏ぶりであり、かつ、毅然とした態度が感じられる。
なおかつ、端正な音楽づくりが為されているとも言いたい。普段のミュンシュであれば、更に遮二無二熱く燃えてゆくのでしょうが、ここで抑制の効いた演奏ぶりが示されているように思えるのです。必要以上に、音楽を煽るようなことはしていない。であるが故に、知情のバランスが良く取れた演奏となっている。
そのうえで、ミュンシュならではのエネルギッシュにして、豪快な演奏が展開されている。颯爽としてもいる。気風が良くもある。それでいて、鋭敏でもある。起伏の大きな音楽が鳴り響くこととなっている。
そんなこんなの結果、ミュンシュを充分に感じさせてくれつつ、作品の魅力を等身大な姿で示してくれている演奏となっているように思われます。

この作品を心行くまでに楽しむことができるとともに、奥行きの深さのようなものを感じさせもする、なんとも素敵な演奏であります。