カラヤン&ベルリン・フィルによるレスピーギの≪ローマの噴水≫と≪ローマの松≫を聴いて
カラヤン&ベルリン・フィルによるレスピーギの≪ローマの噴水≫と≪ローマの松≫(1977,78年録音)を聴いてみました。
NML(ナクソス・ミュージック・ライブラリー)に収蔵されている音盤での鑑賞になります。
流暢にして、美麗な演奏となっています。それはもう、惚れ惚れするほどに。
カラヤンならではの、角の取れた滑らかな肌触り。音楽の進行がスムーズでもある。そのうえで、響きは分厚く、かつ、艶美でもある。変に鈍重になるようなところもない。
しかも、起伏は大きく取られていて、ダイナミックな音楽が奏で上げられています。更には、弱音は決して痩せず、大音響になっても騒がしいということもない。過剰に音楽を煽ったり、騒ぎ立てたり、といった素振りも感じられない。そう、何もかもがマイルドなのであります。そして、クライマックスでは壮麗な音楽世界が築き上げられてゆく。
そんなこんなによって、絢爛豪華な音楽が響き渡ることとなっている。頗る雄弁で、かつ、精妙でもある。
更には、クラリネットやオーボエなどの木管群の魅惑的なソロや、合奏の緻密さや、まろやかにブレンドされた響きの美しさや、等々、ベルリン・フィルの魅力がギッシリと詰まってもいる。
そのような演奏ぶりによって、この両曲の魅力が存分に引き立つこととなっている。そして、その音楽世界に酔いしれることとなる。
カラヤン&ベルリン・フィルの美質がクッキリと刻まれている演奏。
作品の性格も相まって、「カラヤン美学、ここに極まれり」と言い表したくなるほどの、見事な、そして、魅力的な演奏であります。