バーンスタイン&ニューヨーク・フィルによるホルストの≪惑星≫を聴いて
昨日に引き続いて、ホルストの≪惑星≫を採り上げることにします。バーンスタイン&ニューヨーク・フィルによるホルストの≪惑星≫(1971年録音)を聴いてみました。
ニューヨーク・フィルのシェフを務めていた時代のバーンスタイン(もっとも、1969年には既に常任指揮者の座から退いていますが)のイメージそのままの演奏だと言えましょう。実に威勢が良くて、豪快で華麗な演奏となっています。
一言で表現すれば、カッコイイ。
ゴージャスで、スペクタクルで、スリリング。小気味よくて、キレがある。颯爽としてもいる。いやはや、なんとも痛快な演奏であります。そのうえ、抒情的な部分は充分にメランコリックでもある。その辺りの振れ幅が実に大きくて、起伏に富んだ音楽世界が広がることとなっている。
と言いつつも、表現描写は実に素直。そのために、作品の魅力を安心して味わうことができる。なおかつ、艶やかで、輝かしくて、とても美しい。
そのうえで、ニューヨーク・フィルがまた、テクニック面でもサウンド面でも、なんとも見事。色彩の鮮やかさや、恰幅の良いゴージャスな響きは、ニューヨーク・フィルならではだと言えましょう。
この音盤、1980年代の前半頃までは、結構話題に上ることも多かったように思えますが、バーンスタインの晩年、ウィーン・フィルとの共演がライヴ録音されて紹介されるようになった辺りを境に、触れられることが少なくなったような印象があります。ひょっとすると、今となっては、「バーンスタインに、惑星の音盤があったの!?」と驚かれる方もいらっしゃるかもしれません。
晩年のバーンスタインによる演奏とは肌合いの異なる魅力を持っている、バーンスタイン&ニューヨーク・フィルの華麗なる記録。ここからはオーケストラ曲を聴く歓びや快感を得ることができること請け合いだと言いたい。
多くの音楽愛好家に広く聴いてもらいたい、素敵な素敵な(そして、実にカッコイイ)≪惑星≫であります。