モントゥー&シカゴ響によるフランクの交響曲を聴いて
モントゥー&シカゴ響によるフランクの交響曲(1961年録音)を聴いてみました。
NML(ナクソス・ミュージック・ライブラリー)に収蔵されている音盤での鑑賞になります。
当盤は、ミュンシュ&ボストン響盤と並んで、同曲のマイベストの一つ。その演奏ぶりはと言いますと、逞しい生命力に満ち溢れたものとなっています。
更には、目鼻立ちのクッキリとしている演奏だと言えましょう。音楽のフォルムが克明で、彫琢が頗る深くもある。そして、激情的であり、かつ、鮮烈な音楽が奏で上げられている。
そのうえで、音楽全体が生き生きとしている。とても熱くて、輝かしい。至る所で、音楽がうねりにうねっています。しかも、テンポはさして速い訳ではないものの、緊迫感に包まれた演奏が展開されている。
そんなこんなのうえで、全編を通じて、剛毅な気概が滲み出ている演奏となっています。表情が毅然としてもいる。それでいて、決して硬質な演奏ではなく、まろやかさや、しなやかさや、暖かさみが備わってもいる。丹念な演奏となってもいる。この辺りは、モントゥーの人間性の現れなのでありましょう。
そこに加えて、シカゴ響の精緻なアンサンブルが、ここでのモントゥーの音楽づくりの見事さを引き立ててくれているのがまた、なんとも嬉しい限り。
聴き手を惹き込む強大な力を有している演奏。そして、聴いていて、このうえない幸福感に包まれてくる演奏。更には、音楽を聴く歓びに溢れている演奏だとも言いたくなる。
それはまさに、「凄演」とも呼びたくなるようなもの。いやはや、途轍もない魅力を宿している、素晴らしい演奏であります。