コーガン&コンドラシン&ソビエト国立響によるラロの≪スペイン交響曲≫を聴いて
コーガン&コンドラシン&ソビエト国立響によるラロの≪スペイン交響曲≫(1959年ライヴ)を聴いてみました。
NML(ナクソス・ミュージック・ライブラリー)に収蔵されている音源での鑑賞になります。
なんとも凄絶な演奏が繰り広げられています。それは、コーガンにもコンドラシンにも、双方の演奏ぶりに当てはまる。
コーガンによるヴァイオリンは、バリバリと弾いてゆく、といったもの。音楽づくりが、実に強靭。それこそ、辺りを蹴散らしながら音楽を進めている、と言いたくなります。コーガンによる演奏の多くで感じられることなのですが、鬼神によるヴァイオリン、といった趣がある。
であるがゆえに、誠にダイナミックでエネルギッシュな演奏が展開されている。熱弁を振るっている、とも言えそうな演奏ぶりとなってもいる。
その一方で、響きは誠に艶やか。そこかしこで、蠱惑的な表情が窺えもする。そのために、この作品が持っているエキゾティックな雰囲気が、強烈に立ち込めている。誠に煽情的であり、妖艶でもある。
しかも、テクニックは、キレッキレに切れていて、胸のすく音楽が披露されている。
そのようなコーガンをサポートするコンドラシンによる指揮は、骨太で、野趣に溢れたものとなっています。アグレッシブにしてダイナミックで、生命力に満ちている。そして、こちらも実に強靭。このような演奏ぶりであるからこそ、コーガンのヴァイオリンをシッカリと受け止めることができている。そんなふうに言いたくなります。
いやはや、超弩級の魅力を持っている快演であります。