パールマン&プレヴィン&ロンドン響によるメンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲を聴いてみました

パールマン&プレヴィン&ロンドン響によるメンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲(1972年録音)を聴いてみました。

甘美にして、連綿たるロマンティシズムに包まれている演奏。そんなふうに言えるように思えます。そのような空気感がメンデルスゾーンの音楽に、とりわけ、この作品に似つかわしい。
その一方で、生命力に溢れた演奏となっています。過度に耽美的になったり、感傷的になったり、といったことはなく、実在感のある音楽が鳴り響いている。そう、音楽づくりが克明であり、足腰のシッカリとした音楽となっているのであります。このことは、パールマンのヴァイオリンにも、プレヴィンの指揮にも当てはまる。とりわけ、第1楽章の再現部から終結部にかけてなどは、かなり激情的な演奏となっている。第2楽章の中間部あたりでは、壮大で、かつ、逞しい音楽が展開されている。第3楽章では、音楽が嬉々として弾んでいる。そのうえで、全編を通じて、艶やかで、伸びやかで、流麗で、ロマンティックな音楽世界が立ち昇ってきている。

この作品の音楽世界にドップリと身を浸すことのできる、しかも、充実した音楽を聴くことのできる、素敵な演奏であります。