アルゲリッチ&ロストロポーヴィチ&ワシントン・ナショナル響によるショパンのピアノ協奏曲第2番を聴いて

アルゲリッチ&ロストロポーヴィチ&ワシントン・ナショナル響によるショパンのピアノ協奏曲第2番(1978年録音)を聴いてみました。


ここでのロストロポーヴィチによる音楽づくりは、誠に勇壮なもの。とても逞しくて、雄渾であるとも言えそう。ショパンの音楽としては、逞しすぎるのではなかろうかと思えるほどだが、それほど違和感はありません。それよりも、豊饒な音楽が鳴り響いていることに、ワクワク感を覚える。
そんなロストロポーヴィチによって作り上げられている音楽世界の中で、アルゲリッチは、自在感に溢れた演奏を繰り広げくれています。そして、意志の強さが前面に押し出されたものとなっている。
オーケストラによる長い序奏を経て、最初に打ち鳴らされるピアノの音からして、誠に強靭で、鮮烈であります。アルゲリッチの、強い決意をもってこの作品に対峙している姿を見るかのよう。その後も、ロストロポーヴィチに負けず劣らず、勇壮で逞しい演奏を繰り広げてゆくアルゲリッチ。
そして、いつものアルゲリッチによる演奏と同様に、ここでも敏捷性が頗る高い。疾駆感が強い。奔放でもある。そういった様は、「天馬空を行く」と言う表現がピッタリ。パッショネートであり、ドラマティックでもある。
そのうえで、ニュアンスが細やかでもあります。基本的には強靭な演奏ぶりが示されているのですが、第2楽章では消え入るような弱音を散りばめながら儚くて夢幻的な音楽世界を創出してくれている。

なんとも見事な演奏であります。
ショパンの協奏曲としては個性的な演奏であると言わねばならないのかもしれませんが、抗いがたい魅力を宿している、素敵な演奏であります。