ハイティンク&コンセルトヘボウ管によるR・シュトラウスの≪ツァラトゥストラかく語りき≫を聴いて

ハイティンク&コンセルトヘボウ管によるR・シュトラウスの≪ツァラトゥストラかく語りき≫(1973年録音)を聴いてみました。

堅実であり、かつ、華やかさにも不足のない演奏であります。
なんの誇張もなく、きっちりと仕上げられている演奏。それでいて、音楽全体が逞しい生命力を宿していて、覇気が漲っていて、推進力に溢れた演奏となっている。音楽が、適度にうねってもいる。更に言えば、めくるめくような色彩美を持っている。輝かしくもある。そう、華美に過ぎることはないのですが、紛れもなく「絢爛豪華」たる音楽世界が広がっているのであります。R・シュトラウスの音楽に相応しい、華麗な世界が。しかも、底光りするような色彩を放ちながら。
そこには、コンセルトヘボウ管も大きな貢献を果たしていると思えます。芳しくて、底力のある分厚い響きは、このオケならではであると言えましょう。音に、安定感があります。それは、合奏力の高さも含めて。第2部の冒頭部分など、緻密にして、活力に満ちたオーケストラ演奏が展開されていて、目がくらみそう。
コンセルトヘボウ管の名物コンサートマスターであったクレバースによるヴァイオリン・ソロも、気品に満ちている。芳醇な香りがしていて、まろやかでもある。

この時期のハイティンク&コンセルトヘボウ管の多くの演奏と同様に、充実度の極めて高い演奏となっている。
作品の魅力が存分に伝わってくる、見事な演奏であります。