クーベリック&バイエルン放送響によるモーツァルトの交響曲第40番と≪ジュピター≫(CBS盤 1980年録音)を聴いて

クーベリック&バイエルン放送響によるモーツァルトの交響曲第40番と≪ジュピター≫(1980年録音)を聴いてみました。

堅実にして端正な演奏が繰り広げられています。しかも、作品の持っている運動性も、シッカリと表されている。そう、決して速いテンポが採られている訳ではないのですが、しっかとした前進力を備えたものとなっている。息遣いが豊かでもある。そして、誠に生き生きとした表情を湛えているのであります。
堅固で、誠実味や清潔感に溢れていて、しかも、健康美のようなものも備わっている演奏。それは、全くもって「やんちゃ」ではない範囲で。
なるほど、ある種の粛然とした雰囲気を持っている演奏だとも言えそう。それは特に、第40番において強く感じられる。しかしながら、決してかしこまった演奏になっている訳ではありません。ここにあるのは、鳴り響いている音楽が身に纏っているキリッと引き締まった佇まいと、毅然とした演奏態度の、その先に感じられる粛然とした雰囲気。その結果として、純粋なる美が音楽に宿ることとなっている。そんなふうに言いたい。しかも、既に述べたように、音楽は生き生きとした表情を湛えている。底抜けに明るい訳ではないのだが、充分に明朗な音楽が奏で上げられている。
更には、最終楽章の展開部で顕著なように、複雑に折り重ねっている声部が、実に明瞭な形で鳴り響いている。そう、これは全楽章において当てはまることなのですが、目鼻立ちのクッキリとした音楽が奏で上げられているのであります。
そして、特に≪ジュピター≫では、壮麗な音楽が鳴り響くこととなってもいる。決して大袈裟な表現が採られている訳ではないものの、毅然とした音楽づくりから、壮麗さのようなものが自然と滲み出ているのであります。雄渾でもある。そのうえで、風格の豊かさが感じられる。

肩肘張らずに聴くことができ、かつ、充実度の高い演奏。そのことが、モーツァルトを聴く幸福感へと繋がってもゆく。
いやはや、なんとも見事な、そして、素敵な演奏であります。