クーベリック&チェコ・フィルによるショスタコーヴィチの交響曲第9番を聴いて

クーベリック&チェコ・フィルによるショスタコーヴィチの交響曲第9番(1945年ライヴ)を聴いてみました。
NML(ナクソス・ミュージック・ライブラリー)に収蔵されている音盤での鑑賞になります。

1948年にチェコを亡命したクーベリックは、1942年にチェコ・フィルの首席指揮者に就任しています。この演奏は、その任をあった時期のもの。当時、クーベリックは31歳でありました。
なおクーベリックは、1990年に、ビロード革命の結果として42年ぶりにチェコに帰還し、「プラハの春」音楽祭においてチェコ・フィルと演奏した≪わが祖国≫は、大きな話題を呼んだものでした。
また、クーベリックによるショスタコーヴィチの録音は極めて少なく、このライヴ音源はとても貴重。他には、コンセルトヘボウ管との交響曲第7番(1950年ライヴ)が残されているくらいではないでしょうか。

さて、ここでの演奏はと言いますと、生気に富んでいて、疾駆感に満ちたものとなっています。頗るアグレッシブな演奏であり、燃焼度が高い。
しかも、ドンチャン騒ぎに堕すようなことは全くない。なるほど、この作品に備わっている「おどけた表情」といったものが率直な形で表されていますが、それと同時に、シリアスな音楽が奏で上げられています。凝縮度が高くもある。芯がシッカリとしていて、骨太な演奏となってもいる。
更にそのうえ、緩徐楽章となる第2楽章では、とても寒々とした音楽が鳴り響いている。荒涼とした景色が広がっているとも言えそう。そのことが、急速楽章での快走ぶりと鮮やかなコントラストを描き出していて、この演奏に奥行きの深さをもたらしてくれています。
そんなこんなに、クーベリックの誠実さや、優れたバランス感覚や、表現意欲の逞しさや、といったものが滲み出ていると言いたい。

いやはや、なんとも見事な、そして、魅惑的な演奏であります。