イダ・ヘンデル&ベルグルンド&ボーンマス響によるシベリウスのヴァイオリン協奏曲を聴いて

イダ・ヘンデル&ベルグルンド&ボーンマス響によるシベリウスのヴァイオリン協奏曲(1975年録音)を聴いてみました。
NML(ナクソス・ミュージック・ライブラリー)に収蔵されている音盤での鑑賞になります。
ポーランド生まれの女流ヴァイオリニスト、イダ・ヘンデル(1928-2020)が47歳になる年に録音された当盤。その名声に比べると、極端に音盤の少ない彼女の、貴重な録音の一つであります。
さて、ここでの演奏はと言いますと、イダ・ヘンデルらしく、気魄が籠っていて、かつ、緊張感や凝縮度の高いものとなっています。峻厳な音楽づくりが為されているとも言えそう。全編を通じて、高潔な演奏ぶりが示されている。
威儀のようなものが備わっている演奏。そんなふうにも言いたくなります。媚びを売るようなところが、微塵も見受けられない。
やや遅めのテンポを基調としながら、腰を落ち着けた音楽づくりが施されています。フレーズを弾き飛ばしてゆくようなことは皆無で、ジックリと音楽を奏で上げている。
それでいて、充分に逞しくもある。それは、芯の通った演奏ぶりだとも言えそう。冒頭で「気魄が籠っている」と書きましたのも、このことに依ります。と言いつつも、力で押し切るような素振りを見せることは、全くないのですが。
しかも、情緒連綿たる風情が備わってもいる。そう、この作品が秘めているロマンティシズムが、品格の高い演奏ぶりから立ち昇ってくる。凝縮度が高くありつつも、熱量にも不足はない。
そのようなイダ・ヘンデルに対して、ベルグルンドもまた、清新にして、雄弁な演奏を展開しながら、バックアップしてくれています。その演奏ぶりには、奇を衒わない逞しさのようなものが備わっていて、かつ、覇気が漲っている。
あまり話題に上ることの多くない演奏ではありましょうが、充実感たっぷりの、素晴らしい演奏であります。






