ムラヴィンスキー&レニングラード・フィルによるバルトークの≪弦楽器と打楽器とチェレスタのための音楽≫を聴いて
ムラヴィンスキー&レニングラード・フィルによるバルトークの≪弦楽器と打楽器とチェレスタのための音楽≫(1965年2月 モスクワ音楽院大ホールでのライヴ)を聴いてみました。
ムラヴィンスキーらしい、峻厳な演奏であります。そのような演奏ぶりは、この作品が持っている透徹した音楽世界を描き上げるに当たって、誠に相応しい。
そのうえで、とても精緻な演奏となっている。強靭でもある。そして、冷徹であるとともに、沸き立つような激情が秘められている。そう、とても峻烈な演奏となっているのであります。
それはもう、全編を通じて、どこまでもが透徹され切っている演奏が繰り広げられています。更には、研ぎ澄まされた感性によって描き上げられている演奏だとも言えそう。
しかも、運動性に満ちている。音楽が、うねりにうねっています。火花を散らしながら驀進しているとも言いたい。そのような観点からすると、実にホットな演奏になっています。そして、この作品が持っているシリアスな切迫感も、容赦ない形で描き出されている。
そんなこんなもあり、「音楽的な美感」の頗る高い音楽が奏で上げられている。
作品の性格と、ムラヴィンスキーの特質とが、高次元の領域で結びついている演奏。そんなふうに言えるように思えます。
いやはや、聴いていて震え上がってしまうほどの、なんとも素晴らしい演奏であります。