ドホナーニ&クリーヴランド管によるシューマンの交響曲第4番を聴いて

ドホナーニ&クリーヴランド管によるシューマンの交響曲第4番(1988年録音)を聴いてみました。

キリッと引き締まった、筋肉質なシューマン演奏であります。そのことによって、スッキリとした佇まいをしている。
と言いつつも、充分に力感に富んだ演奏が繰り広げられています。キビキビとしていて、躍動感に溢れている。確かにスリムな演奏ぶりではあるのですが、推進力に満ち、逞しさを備えた演奏となっているのであります。
そのうえで、端正で、純度の高さが感じられる演奏となっている。典雅という表現は少しく違うかもしれませんが、毅然とした品格の高さのようなものが感じられもする。
やるべきことを、キッチリとやり尽くしている演奏。
この作品では、もっとデモーニッシュな雰囲気があっても良いかもしれません。しかしながら、ここまで格調高い演奏を披露されると、それだけでもう充分、という気分にさせられます。しかも、シューマンの音楽に特有の「熱狂」も見えてくる。それは、「理性的な熱狂」と言いたくなるようなものとなっているのですが。

ユニークな魅力を湛えていて、かつ、充実感の頗る高いシューマン演奏。
素晴らしい演奏であると思います。