フルネ&チェコ・フィルによるドビュッシーの≪映像≫から「イベリア」と「春のロンド」を聴いて

フルネ&チェコ・フィルによるドビュッシーの≪映像≫から「イベリア」と「春のロンド」(1965年録音)を聴いてみました。

曖昧なところのない、明晰にして骨太な演奏であります。逞しく、力感豊かで、かつ、熱気を帯びた音楽が奏で上げられている。
キッチリとして筆致で、輪郭線の克明な演奏。しかも、とてもエネルギッシュでドラマティック。
とは言うものの、例えばミュンシュによる演奏ほどに強靭な音楽づくりが為されている訳ではありません。ドッシリと構えながら演奏を展開していきながら、生気を帯びた音楽を奏で上げてゆく、といった様相を呈している。テンポはやや遅めといったところであり、力づくで押し通すといったことは皆無。であるからこそ、骨太な印象が強められるのだとも言えそう。
そのうえで、色彩が豊かでもあります。それでいて、原色系のケバケバしい色合いにはなっていない。この辺りは、チェコ・フィルの体質にも依るのでしょうか。むしろ、玄妙な色調をしている。そのことが、この演奏に奥行きの深さをもたらしてくれているようにも思える。
(思えば、1960年代から70代にかけて、このフルネをはじめとして、ボドなど、フランス人指揮者がチェコ・フィルを指揮するフランス音楽が、スプラフォン・レーベルに数多く録音されたものであります。)

ちょっと風変わりなドビュッシー演奏だとも言えそうですが、決してドビュッシーの音楽から逸脱したものになっていない、聴き応えの十分な見事な演奏であります。
このようなドビュッシー演奏に接するのもまた、良いものであります。