ラトル&バーミンガム市響によるドビュッシーの≪映像≫を聴いて

ラトル&バーミンガム市響によるドビュッシーの≪映像≫(1989年録音)を聴いてみました。
ラトルが38歳だった時の演奏。その演奏内容はと言いますと、明快で、シャープなものとなっています。この時期のラトルの音楽づくりが、クッキリと反映されていると言いたい。
旋律線や、音の輪郭線が、頗る明瞭。リズムに対する対処が鋭敏で、敏捷性が感じられもする。そのうえで、起伏の大きさや、ドラマティックな感興や、躍動感も十分。ある種、鮮烈でもある。快活な雰囲気に包まれているドビュッシー演奏だと言えそうで、聴いていて快感を覚えます。
そのような音楽づくりは、とりわけ「イベリア」において顕著。頗る鮮明で、かつ、音楽がキビキビと運ばれている。とても生き生きとした音楽が奏で上げられている。臨場感に溢れた演奏ぶりだとも言いたい。それ故に、聴いていて心が弾んできます。ケバケバしくならない範囲で、カラフルな演奏となってもいる。
その一方で、「ジーグ」と「春のロンド」では、静的な演奏ぶりであり、かつ、たゆたうような雰囲気が滲み出ていつつも、明晰で、スッキリとした佇まいをした音楽が奏で上げられています。しかも、「春のロンド」の後半部分では、この箇所に相応しい律動的な演奏が展開されている。そのうえで、この2つのナンバーにおいても、色彩感に不足のない音楽が響き渡っている。
なるほど、ドビュッシーらしくない演奏だとも受け取れそうですが、新鮮な魅力を備えている、ユニークで素敵なドビュッシー演奏。そんなふうに言えるのでないでしょうか。





