オイストラフ&オーマンディ&フィラデルフィア管によるシベリウスのヴァイオリン協奏曲を聴いて

オイストラフ&オーマンディ&フィラデルフィア管によるシベリウスのヴァイオリン協奏曲(1959年録音)を聴いてみました。
雄弁にして雄大で骨太で、それでいて流麗で、しかも逞しい生命力に溢れた演奏となっています。
オイストラフのヴァイオリンは、土臭さがありつつ、艶やかでもあります。そして、凄まじいまでの気魄が籠っている。頗る情熱的であり、第3楽章では曲想に応じては妖艶な表情を見せてくれたりもする。
その一方で、音楽の彫りが実に深い。音楽の造りが堅固でもある。そのうえで、入念な音楽づくりが施されている。
奔放さと緻密さのバランスに優れているヴァイオリンソロ。そんなふうに言えるのではないでしょうか。
しかも、テクニックは万全。とは言うものの、技術の高さをこれ見よがしに誇示するような素振りは皆無であります。技術の確かさを、ただひたすらに、作品を深く抉ってゆくことに奉仕させている、といった演奏になっていると言いたい。
そのようなオイストラフに対して、オーマンディの指揮は、美麗でいて、力感に溢れた演奏を展開してくれています。リリカルでいてゴージャスであり、雄大でもある。そして、オイストラフのソロをシッカリと支えている。
オイストラフも、オーマンディも、知情のバランスが絶妙だと言えましょう。しかも、情感タップリな音楽が奏で上げられている。
充実感いっぱいで、聴き応え十分な、なんとも素敵な演奏であります。





