カラヤン&ウィーン・フィルによるR・シュトラウスの≪ツァラトゥストラかく語り気≫を聴いて

カラヤン&ウィーン・フィルによるR・シュトラウスの≪ツァラトゥストラかく語り気≫(1959年録音)を聴いてみました。
第2部でのコンマスソロは、ボスコフスキー。
華麗でいて、かつ、颯爽とした演奏となっています。全編を通じて、メリハリが効いていて、巧妙な音楽づくりが為されているとも言えそう。
R・シュトラウスの作品に相応しく、充分に艶やかで、豪華絢爛たる音楽が鳴り響いています。それでいて、後年のカラヤンによる演奏によくあるような厚化粧な演奏には、なっていない。濃厚に過ぎたり、過度に粘っていたり、といったようなこともない。それよりもむしろ、爽快さが感じられる。伸びやかで、率直で、明朗な演奏となっている。音楽全体がしなやかに息づいている。
この辺りは、1950年代から60年代前半にかけてのカラヤンの演奏の特徴がクッキリと現れているが故のことだと言えましょう。
そのうえで、滑らかにして、豊麗な音楽が奏で上げられています。磨き上げが丁寧でもある。そして、音楽が存分に渦を巻いている。それは、例えば第1部の終わりの方から第2部の冒頭部分などで顕著。音楽が機敏に躍動してもいる。更には、第2部の「舞踏の歌」では、ボスコフスキーによる端正でいて艶やかなソロもあって、健康的な妖艶さと言いたくなるような音楽が鳴り響くこととなっている。
そこに、ウィーン・フィルのまろやかで艶やかな美音が加わることによって、魅力が一層増すこととなっています。
1960年前後のカラヤンを聴く歓び、ウィーン・フィルを聴く歓び、そして、R・シュトラウスを聴く歓び、これらが詰まっている素敵な演奏。そんなふうに言えるのではないでしょうか。





