マリナー&アカデミー室内管によるフォーレの≪ドリー≫組曲とイベールの≪ディヴェルティスマン≫を聴いて

マリナー&アカデミー室内管によるフォーレの≪ドリー≫組曲とイベールの≪ディヴェルティスマン≫(1982年録音)を聴いてみました。
NML(ナクソス・ミュージック・ライブラリー)に収蔵されている音盤での鑑賞になります。

マリナーならではの、スッキリと纏められていて、清涼感の漂う演奏が繰り広げられています。
シックな色合いをした音楽が鳴り響いているとも言えそう。もっと言えば、フランスのエスプリが効いている、というよりも、純音楽的なアプローチが為されていると言いたい。キリっとしていて、知的な雰囲気が漂ってもいる。
そのうえで、仕上げが丹念で、凛とした美しさを湛えたものとなっている。そして、これらの作品ならではの可憐さや愉悦感も必要十分に感じられる。
変に構える必要が無く、ス~っと耳に入ってくる演奏。こういったことは、両曲がもともと備えている性格だと言えましょうが、そのようなことを改めて感じさせてくれる演奏となっています。しかも、大言壮語するような姿勢は微塵も見受けられない演奏でもある。そのようなこともあり、両曲の音楽世界にドップリと身を浸すことができる。この辺りに、マリナーならではの優れた音楽センスが滲み出していると言えるのではないでしょうか。

フランス音楽での演奏としては、ユニークな音楽づくりが為されているとも思えますが、なかなかに素敵な演奏であります。