ストコフスキー&交響楽団によるシェーンベルクの≪浄夜≫を聴いて

ストコフスキー&交響楽団(表記はHis Symphony Orchestra)によるシェーンベルクの≪浄夜≫(1957年録音)を聴いてみました。

変な言い方になりますが、ストコフスキーにしては、結構まともな演奏であります。
とは言うものの、かなり濃厚な演奏になっています。色彩感があって、かつ、重厚な響きによって奏で上げられているのは、ストコフスキーならではと言えましょう。ロマンティックな味わいを湛えて、艶美でもある。そのうえで、音楽が存分にうねっている。頗るスリリングでもある。
そのような音楽づくりが奇異には聞こえず、「まとも」に思えるのは、≪浄夜≫という作品自体が、ここでストコフスキーが採っている音楽づくりと同質な性格を本来的に宿しているからに他ならないと言いたい。
確かに、他の多くの演奏に比べると、ストコフスキーによる演奏ぶりは、先ほど挙げていった性格が強調されていると言えましょう。しかしながら、決して作品の枠を超えていたり、誇張が過ぎたり、といったようなことはないように思われる。ストコフスキーによる演奏においてしばしば感じられる「えげつなさ」のようなものも、見受けられない。もっと言えば、作品が持っている息遣いから外れるようなことはなく、むしろ、作品が望む通りに奏で上げている、といったふうに感じられる。
作品と演奏者との一体化。ここには、そのような姿が刻まれているのだと言いたい。
その結果、当然のようにして、頗る魅惑的な≪浄夜≫が鳴り響くこととなっている。

いやはや、なんとも素敵な≪浄夜≫であります。