グリモー&アンドリス・ネルソンス&バイエルン放送響によるブラームスのピアノ協奏曲第1番を聴いて
グリモー&アンドリス・ネルソンス&バイエルン放送響によるブラームスのピアノ協奏曲第1番(2012年録音)を聴いてみました。
NML(ナクソス・ミュージック・ライブラリー)に収蔵されている音盤での鑑賞になります。
清冽にして、瑞々しさの感じられる演奏となっています。しかも、ふくよかで、暖かみが感じられもする。
この作品での演奏では、剛毅さを前面に押し出したものが多いように思えます。しかしながら、ここでのグリモーによるピアノは、大上段に構えた演奏ぶりが示されている訳ではなく、或いは、猛々しさが表されているのでもなく、自然体で、伸びやかなものとなっています。その様は、チャーミングな味わいに満ちたブラームス演奏になっていると言えそう。
それでいて、決してなよなよとした演奏ではありません。必要十分なスケールの大きさが感じられる。そのうえで、繊細であり、清冽で、精巧である。そう、とてもニュアンス豊かな音楽が鳴り響いているのであります。抒情性を前面に押し出しながら、キリリと引き締まっていて端正でもある。ウェットなようで、折り目の正しい演奏だとも言いたい。
更に言えば、感受性の豊かな演奏でもある。清潔感が漂ってもいる。充実感がいっぱいでもある。そんなこんなのうえで、繰り返しになりますが、暖かみが滲み出ている。
ネルソンスの指揮は、雄弁で、かつ、しなやか。しかも、こちらもまた、大上段に構えた音楽づくりが為されている訳ではないのですが、風格の豊かさが感じられる。適度な重厚感が備わってもいる。その辺りが、この作品には好ましい。
グリモーと、アンドリス・ネルソンスのそれぞれの美質が滲み出ている演奏。そのうえで、作品の魅力を堪能することのできる演奏となっている。
いやはや、なんとも素敵な演奏であります。