朝比奈隆さん&大阪フィルによるブルックナーの交響曲第5番(1994年ライヴ)を聴いて

朝比奈隆さん&大阪フィルによるブルックナーの交響曲第5番(1994/6/27 大阪フェスティバルホールでのライヴ)を聴いてみました。
図書館で借りたCDでの鑑賞になります。

朝比奈さんがシカゴ響に客演し、同じブルックナーの交響曲第5番を演奏したのは、当盤に収められている演奏から2年後の1996年のことでありました。

さて、ここでは、晩年の朝比奈さんならではの、ゆったりとしたテンポを基調とした、悠揚とした雰囲気の漂う演奏が繰り広げられています。
ゆったりとしたテンポを基調としながら、悠揚とした雰囲気の漂う演奏が繰り広げられています。
一歩一歩を踏みしめるようにして音楽は進められてゆく。とは言いましても、音楽の歩みが鈍重になるようなことはない。そのような音楽づくりによって、逞しくて、野太い演奏が繰り広げられています。気宇が大きくもある。そして、オケをたっぷりと鳴らしながら、風格豊かな音楽が奏で上げられている。
誠に質実剛健な演奏であります。それでいて、ゴツゴツとした肌触りをしている訳ではない。むしろ、秀麗な演奏になっているとも言えそう。例えば第3楽章では、頗るドラマティックな演奏が展開されていて、劇的効果が高くもある。また、最終楽章では、流れの滑らかな演奏が繰り広げられている。
と言いましても、やはり、洗練されているというよりは武骨さが前面に出た演奏となっています。それ故にと言いましょうか、周囲に媚を売るような素振りは一切感じられない。そして、芯の強さの感じられる音楽が鳴り響いている。
しかも、第2楽章での演奏において顕著であるように、とても清澄な演奏となっています。そう、決して感覚的な美しさを追い求めた結果ではない、ピュアな美しさを湛えた音楽が鳴り響くこととなっている。
そのうえで、誠に雄大な音楽世界が築き上げられています。最終楽章の終結部などは、壮麗にして荘重で、頗る昂揚感の高い演奏となっている。
更には、ブルックナーの作品ならではの、音楽が階段状に積み上がってゆくような構築感の確かさを備えた演奏が繰り広げられています。
そんなこんなによって、ブルックナーの音楽世界にドップリと身を浸すことのできる演奏となっている。

なんとも立派な、そして、聴き応え十分なブルックナーの5番であります。