コンドラシン&コンセルトヘボウ管によるR=コルサコフの≪シェエラザード≫を聴いて
コンドラシン&コンセルトヘボウ管(RCO)によるR=コルサコフの≪シェエラザード≫(1979年録音)を聴いてみました。
ヴァイオリン独奏は、RCOの名物コンマスだったクレバース。
眩いほどに絢爛豪華な≪シェエラザード≫の音楽世界が展開されているというよりも、コクの深さが感じられる≪シェエラザード≫となっています。
なるほど、コンドラシンならではの豪壮さを秘めた音楽が奏で上げられています。推進力は十分で、生気を帯びてもいる。この辺りは、とりわけ最終楽章において顕著。更には、全編を通じて、骨太な音楽が鳴り響いている。
しかしながら、決して力づくな演奏にはなっていません。派手に煽るようなこともしていない。生彩豊かでありつつ、端正な演奏が展開されているのであります。更に言えば、芳醇な音楽が鳴り響くこととなっている。この辺りは、RCOによる寄与も大きいと言えましょう。
そのうえで、これ見よがしではない雄大さがある。この作品ならではの壮大さは十分。しかも、それらは地に足の付いたものだと言いたい。そして、夢幻的な雰囲気にも不足はない。そう、逞しいながらも、とてもチャーミングな音楽となっているのであります。
そのようなコンドラシン&RCOの演奏ぶりに加えて、クレバースのヴァイオリンソロがまた、堅実にして、頗る艶やかなものとなっている。
コンドラシン&RCOというコンビの妙味が滲み出ている演奏。それは、ズシリとした手応えを持っていて、かつ、独自の魅力を備えている演奏だとも言えそう。
なんとも素敵な≪シェエラザード≫であります。