ロストロポーヴィチ&フランス国立管によるプロコフィエフの交響曲第7番を聴いて

ロストロポーヴィチ&フランス国立管によるプロコフィエフの交響曲第7番(1986年録音)を聴いてみました。

ロストロポーヴィチ(1927-2007)は、1980年代にフランス国立管とプロコフィエフの交響曲全集を完成させていますが、これはその中の1枚。ロストロポーヴィチが60歳に入る直前の録音で、チェリストとしてよりも、指揮者としての活動に既に軸足を移していた時期の演奏であると言えましょう。
さて、ここでの演奏についてであります。

ロストロポーヴィチらしい、表現意欲の旺盛な演奏となっています。なんとも雄渾な音楽が奏で上げられています。そのうえで、洗練味を帯びてもいる。洗練味が感じられるというところは、フランスのオケを起用しているところから来ているのかもしれません。
基本的には、力強くて、骨太な演奏ぶりであります。気宇が大きくて、ダイナミックで、逞しい生命力が宿っている音楽が展開されています。
それでいて、羽目を外すような演奏にはなっていない。力任せに、グイグイと押し切るような演奏にもなっていません。しっかりとした構成感が貫かれている。そして、冒頭に戻るのですが、洗練味を帯びてもいる。艶やかでもある。そう、エレガントさの感じられるプロコフィエフ演奏となっている。そのうえで、色彩豊かでもある。この辺りは、オケの特質が反映されている結果なのでありましょう。
そんなこんなのうえで、生気に富んでいて、かつ、とても美しい演奏となっている。それは、響きにおいても、音楽の佇まいにおいても。

聴き応えの十分な、そして、チャーミングなプロコフィエフ演奏。そんなふうに言えるように思います。

なお、ここでは、最後は静かに閉じられる版で演奏されています。