ガーディナー&イングリッシュ・バロック・ソロイスツによる≪ジュピター≫(1989年録音、フィリップス)を聴いて

ガーディナー&イングリッシュ・バロック・ソロイスツによる≪ジュピター≫(1989年録音)を聴いてみました。

溌剌としていて、かつ、輝かしい演奏となっています。そして、とても清新もある。手垢にまみれていない音楽が奏で上げられているとも言いたくなる。
とりたてて速いテンポが採られているという訳ではないのですが、生き生きとした音楽が奏で上げられています。躍動感があり、音楽が存分に弾けている。しかも、節度ある形で。
更には、決して大柄な演奏ぶりではないものの、充分に壮麗でもあります。その様は、≪ジュピター≫という副題を持った作品に相応しい。この作品が持っている華やかさや、祭典的な晴れやかさが、充分に描き出されていると言いたい。とは言うものの、古楽器による演奏だということもあってと言うべきでしょうか、ケバケバしい華やかさではない。清潔感に満ちた華麗さ、と表現したくなるようなものを湛えている。
そのうえで、力感に富み、推進力に満ちた演奏が繰り広げられています。その結果として、演奏全体から「音楽する喜び」が溢れ出ているかのよう。それと同時に、聴き手としましても、音楽に接する喜びを心の底から味わうことができる。

真摯で、率直で、伸びやかで、晴れやかな演奏。そして、聴いていて誠に清々しい。
ガーディナーの美質がクッキリと現れていて、なおかつ、この作品の魅力をタップリと味わうことのできる、素敵な素敵な演奏であります。