マイケル・ティルソン=トーマス&コンセルトヘボウ管によるアイヴズの交響曲第2番を聴いて

マイケル・ティルソン=トーマス(MTT)&コンセルトヘボウ管(RCO)によるアイヴズの交響曲第2番(1981年録音)を聴いてみました。
RCOによるアメリカ音楽の録音というのは、とても珍しいと言えましょう。また、MTTとRCOとの正規録音も、現時点ではこれが唯一なのではないでしょうか。
なおMTTは1980年代にアイヴズの交響曲を、第2,3番はRCOと、第1,4番はシカゴ響と組んで録音し、全集を完成させています。

さて、ここでの演奏はと言いますと、克明にして明快で、それでいて、格調高いものとなっています。
目鼻立ちがクッキリとしていて、音楽はキビキビと進められています。適度にドラマティックで、適度にエネルギッシュな音楽づくりが為されている。アイヴズでの演奏に相応しい躍動感が備わっている。そのうえで、第2楽章や最終楽章では、その曲想に相応しい明朗な演奏が繰り広げられている。
と言いつつも、決して音楽を荒立てるようなことはしていません。むしろ、優しく包み込むような演奏ぶりとなっています。浮かれたところがなく、空騒ぎするようなこともない。そのうえで、鋭敏な音楽づくりが施されている。
とは言いましても、音楽が過度に尖っている訳ではありません。まろやかな音楽が響き渡っている。この辺りは、RCOの特質に依るところも大きいでしょう。
そんなこんなのうえで、雑味がなくて、透明感のある演奏となっています。清潔感漂う抒情性、といったようなものが感じられる。このような印象を抱くのは、アイヴズの作品では珍しいと言えそう。

ユニークな魅力を湛えていて、なおかつ、聴き応えも十分な、素敵なアイヴズ演奏であります。