ネーメ・ヤルヴィ&シカゴ響によるコダーイの≪ハーリ・ヤーノシュ≫組曲と≪ガランタ舞曲≫を聴いて
ネーメ・ヤルヴィ&シカゴ響によるコダーイの≪ハーリ・ヤーノシュ≫組曲と≪ガランタ舞曲≫(1990年ライヴ)を聴いてみました。
NML(ナクソス・ミュージック・ライブラリー)に収蔵されている音盤での鑑賞になります。
逞しさや、野生味の備わっている演奏となっています。そのような音楽づくりが、コダーイの作品に相応しいと言えそう。
しかも、とても鮮明な演奏が繰り広げられています。目鼻立ちがクッキリとしていて、スッキリとしてもいる。そう、決して粗暴さを感じさせるような演奏となっている訳ではないのです。とても巧緻な演奏となっている。純音楽的な美しさを湛えていて、透明感が備わってもいる。この辺りは、シカゴ響の合奏力の高さや、響きに対する洗練された感覚に依るところも大きいのではないでしょうか。
そのうえで、≪ハーリ・ヤーノシュ≫の「ウィーンの音楽時計」に顕著であるように、キビキビとした音楽運びが為されている。十分なるウィットが示されてもいる。それに続く「歌」では、愁いに満ちていて、抒情性に富んだ音楽が鳴り響いている。また、≪ガランタ舞曲≫では、民族色の豊かさが自然と滲み出てきており、かつ、後半では躍動感が漲っている。かように、表現の幅の広さの感じられる演奏となっているのであります。しかも、大袈裟なところの微塵もないやり方で、為されている。それは、ネーメ・ヤルヴィの器用さ故であり、かつ、音楽性の豊かさの現れでもありましょう。
ネーメとシカゴ響という、とても珍しいコンビによる録音ですが、その組合せの妙味がよく出ていると言えるのではないでしょうか。
そのうえで、この2曲の魅力を等身大の姿で味わうことのできる、素晴らしい演奏になっていると言いたい。