ロト&レ・シエクルによるドビュッシーの≪海≫を聴いて

ロト&レ・シエクルによるドビュッシーの≪海≫(2012年録音)を聴いてみました。
NML(ナクソス・ミュージック・ライブラリー)に収蔵されている音盤での鑑賞になります。

清新な演奏が繰り広げられています。混濁のない演奏ぶりで、透明感が強い。
しかも、とても生き生きとしています。明瞭な演奏ぶりが示されていて、適度にエッジの立っている演奏だとも言えましょう。晴れやかでもあり、小気味良くて律動感に溢れていて、あちこちで音楽が存分に弾んでいる。
そのうえで、音の粒がクッキリとしたものとなっている。音楽全体がキリっと引き締まっている。躍動感が備わっていて、リズムは明快に刻まれてゆく。この辺りは、いかにも今風な演奏ぶりだと言いたい。
それでいて、最近の演奏でしばしば見受けられるエキセントリックな音楽づくりは皆無。そう、音楽を変に締め上げるようなことはしていないのであります。むしろ、伸びやかにして、率直な音楽づくりが為されている。それが、私にとっては頗る好ましいところ。
そんなこんなのうえで、決してケバケバしい色合いをしている訳ではないものの、色彩感に不足はありません。生彩感に満ちていて、かつ、精妙な音楽が奏で上げられている。

ロトの音楽センスの豊かさがクッキリと現れている演奏。そのうえで、この作品の魅力が存分に描き上げられている演奏となっている。
聴き応え十分な、なんとも素敵な演奏であります。