オイストラフ&ロジェストヴェンスキー&ソビエト国立響によるヒンデミットのヴァイオリン協奏曲を聴いて
オイストラフ&ロジェストヴェンスキー&ソビエト国立響によるヒンデミットのヴァイオリン協奏曲(1962年録音)を聴いてみました。
ここでのオイストラフによるヴァイオリン演奏は、骨太で力強く、しかも、洗練味を帯びたものとなっています。決して野放図にならずに、ピンと張りつめた緊張感がある。知的でありつつも、力感に溢れていて、しなやかでもある。
更に言えば、ヒンデミットの作品に相応しいシリアスな演奏ぶりが貫かれている。ストイックな音楽づくりだとも言えそう。それでいて、痩せぎすな演奏になっている訳ではありません。適度にふくよかさが備わっている。響きは、頗る艶やかでもある。そして、抒情的な味わいにも不足はなく、伸びやかさが備わっている。生彩感に富んでもいる。
そんなこんなによって、克明であり、かつ、生き生きとした音楽が鳴りびくこととなっている。しかも、そのような音楽づくりを、卓越した技巧がシッカリと支えている。
そのようなオイストラフに対して、録音当時30歳を超えたばかりのロジェストヴェンスキーによる指揮はと言いますと、逞しさと堅実さを兼ね備えた音楽づくりとなっていて、オイストラフをがっちりとサポートしてくれています。
実に立派な演奏。そして、作品の魅力を存分に味わうことのできる演奏となっている。
ヒンデミットのヴァイオリン協奏曲は、あまりメジャーな作品だとは言えないかもしれませんが、多くの音楽愛好家に聴いてもらいたい素晴らしい演奏であります。