バルビローリ&パリ管によるドビュッシーの≪海≫と≪夜想曲≫を聴いて
バルビローリ&パリ管によるドビュッシーの≪海≫と≪夜想曲≫(1968年録音)を聴いてみました。
NML(ナクソス・ミュージック・ライブラリー)に収蔵されている音源での鑑賞になります。
パリ音楽院管を発展的解体してパリ管が創設された翌年に録音されたもの。
バルビローリ卿がパリ管を振っての正規録音は、この1枚だけなのではないでしょうか。とても貴重な記録であると思います。しかも、パリ管との共演に限らず、ドビュッシーの録音自体が非常に少なくて、貴重。
さて、この演奏を聴いての印象はと言いますと。
品格の高い演奏であります。キリッとしていて、毅然とした語り口となっている。更に言えば、構築感が抜群。
筆致が克明で、クッキリと描き上げられた演奏となってもいます。そのこともあって、とても凛とした佇まいをしている。しかも、精妙で、頗る雄弁な演奏となっている。
そのうえで、剥き出しの情熱をぶつけている訳ではありませんが、生き生きとした表情に満ちています。運動性の大きな演奏となっている。スケールが大きくもある。そして、彩りが鮮やかでもある。
最後の、彩りの鮮やかさについては、パリ管による貢献度が高いとも言えましょう。ケバケバしい彩りをしている訳ではないのですが、響きからは艶やかさが感じられます。光沢があり、適度な輝かしさが感じられもする。
風格豊かであり、かつ、鮮やかでもある、実に素敵なドビュッシー演奏であります。