ワルター&ウィーン・フィルによるモーツァルトの交響曲第40番を聴いて

ワルター&ウィーン・フィルによるモーツァルトの交響曲第40番(1952年ライヴ)を聴いてみました。

暖かみや、優しさの中に、峻厳さが加えられているような演奏。そんなふうに言えそうな演奏となっています。そう、優美でありつつも、この作品の持っているデモーニッシュな性格や、切迫感も、シッカリと備わっている。適度にドラマティックでもある。
それでもやはり、ワルターならではの滋味深さに溢れています。ヒューマニズムに溢れていて、暖かみがある。そのような特質が、ウィーン・フィル独特のまろやかで柔らかくて、かつ、弾力性を帯びている響きや演奏ぶりによって、倍加されているとも言えそう。
そのうえで、頗るロマンティックでもある。それは、冒頭の旋律の中におけるポルタメントに象徴されていると言えましょう。それとともに、なんとも甘美な音楽が奏で上げられている。そのような音楽世界の中で、峻厳な音楽が鳴り響くこととなっているのであります。しかも、その両者が全く矛盾することなく並立している。
更に言えば、第2楽章において顕著なように、豊かな歌心を湛えている。

なんとも趣き深くて、懐の深さのようなものが感じられる演奏。深淵だとも言えそうなのですが、取り澄ましたところは微塵もなく、聴き手を優しく包み込むような音楽が鳴り響いている。そして、ジッと胸に沁み入ってくる。
そのうえで、繰り返しになりますが、ウィーン・フィルならではのまろやかさが、この演奏の魅力を格段に増してくれている。
ワルターとウィーン・フィルのそれぞれの美質が横溢している40番。
そして、聴後には、心が浄化されたような感覚を抱くこととなる。
これはもう、身震いするほどに素晴らしい演奏であります。