ドラティ&デトロイト響による≪ツァラトゥストラかく語りき≫を聴いて

ドラティ&デトロイト響によるR・シュトラウスの≪ツァラトゥストラかく語りき≫(1980年録音)を聴いてみました。

豊麗なR・シュトラウス演奏とは一線を画す演奏だと言えましょう。そう、スッキリと纏められていて、スリムな出で立ちをした演奏となっているのであります。そして、誠に明晰な演奏が展開されている。
と言いつつも、言うべきことはシッカリと言い切っているところが素晴らしい。R・シュトラウス特有の官能も、プンプン匂ってくる訳ではないのですが、適度に含まれている。適度に豪華絢爛である。そして、充分な運動性を備えている。そう、音楽が存分にうねっている。
そのうえで、細部まで丹念に磨き上げられていて、目鼻立ちのクッキリとした克明な演奏が繰り広げられています。感情移入を極力排したような演奏ぶりで、客観性の高い音楽が鳴り響いているとも言えそう。そんなこんなによって、実にピュアな美しさが示されている。

薄化粧なR・シュトラウス演奏。とは言え、紛れもなく美形な演奏となっています。クール・ビューティと評したくなるような演奏だとも言えそう。
このようなR・シュトラウスも、なかなか素敵であります。