グリュミオー&ハイティンク&コンセルトヘボウ管によるメンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲を聴いて

グリュミオー&ハイティンク&コンセルトヘボウ管(RCO)によるメンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲(1960年録音)を聴いてみました。
NML(ナクソス・ミュージック・ライブラリー)に収蔵されている音盤での鑑賞になります。

グリュミオーならではの、艶やかで、甘美で、流麗な演奏が繰り広げられています。
それでいて、情に流されて、スタイルが崩れたりするようなことは、微塵も感じられません。そう、毅然とした演奏となっている。更には、しばしば見栄を切る。そんなこんなによって、音楽がキリっとした表情を見せたりもしている。そのうえで、連綿と音楽を歌い抜いている。
そこから生まれる音楽は、感覚的にも、内面的にも、とても美しくて充実したものとなっている。
そのような演奏ぶりを通じて、この協奏曲の魅力を存分に引き出してくれています。

そんなグリュミオーをバックアップしているハイティンクは、このとき弱冠31歳。翌年の1961年にはヨッフムが補佐をする形を採りながら、二頭体制でRCOのシェフに就任しています。1959年にベイヌムが60歳を手前にして急逝したことによって、オランダ楽壇の期待を一身に背負うこととなった時期の演奏と言うことになります。
そんな若き日のハイティンクによるここでの演奏ぶりは、率直にしてがむしゃらなもの。そのうえで、とても真摯な音楽を奏で上げていて、音楽が空転するようなところは全く無い。むしろ、どっしりとした安定感が築かれています。好サポートだと言えましょう。

ヴァイオリン音楽を聴く歓びを味わうことができる演奏。そして、聴き応え十分で、充実感に溢れている演奏。
なんとも素敵な演奏であります。